【象英だより】2022年2月の活動報告とひな祭りのお話
【象英ラジオVol.1】
今月から音声にて各月の暦のお話などをお届けいたします。どうぞお聞きくださいませ。
2022年2月の活動報告
二月の活動は雅楽の演奏会から始まり、自分の新講演会年で終わりました。
どんなに天候が悪くでも「不易流行」で、四季の巡りは間違いなく春を迎えています。
ひな祭りのおはなし
三月は「ひな祭り」ですね。
ひな人形の歴史は古く、推古天皇の時代にさかのぼります。
本来「ひな祭り」は、女児の無病息災を願って草やワラで小さな人形を作り、それに自分たちの名前や生まれ日を書き、日々に受けた不浄や汚れを預けて川や海に流す「流し雛(びな)」の行事が基になっています。
今日でも地方によっては和紙や藪萱草(やぶかんぞう)で人形を作り、桟俵(さんだわら)に菱餅(ひしもち)や飴(あめ)、あられなどを乗せて流す風習もあります。聖徳太子もこの流し雛を行ったとありますが、当時はその日限りの行事であって、作った人形は流すか屋敷内でお焚き上げして処分されました。
しかし、平安時代になると草人形はどんどん装飾的になり人形師も登場してきます。
本人が着ていた古布を用いて創作し、見た目にも完成度の高い雛人形に変貌し、更に部屋飾りの様式に発展します。もちろん宮廷文化が発端ですから、公家や武家社会でも、お内裏様、三人官女、五人囃子をはじめ、菱餅や白酒、左近の桜や右近の橘など季節を先取りした風情や、女児が喜びそうな嫁入り道具のあれこれまで設えるようになっていきます。
古代中国では、お酒を飲んで災厄を祓う行事もありました。これが日本に紹介され「ひな祭り」と融合したわけですが、秋の「重陽(ちょうよう)の節句」に飲む菊酒に対して、春の「上巳(じょうし)の節句」では桃酒や白酒が飲まれます。
かつては3月3日に桃の花びらを盃に浮かべて飲む大人の宴会もあったようで、現代の節句とは程遠い縁起です。
しかし、雛人形は一年間暗い箱住まいでしたから、お雛様の前で家族団らんの昔話に花を咲かせて下さいませ。